1663年頃
30〜31歳
青い上着の女が、窓からの光の中で手紙を読んでいる。背後の壁に大きな地図。
青衣の女
Brieflezende vrouw / アムステルダム国立美術館
館によれば、肌をやわらかい灰色で塗り、壁の影を淡い青で塗ることに踏み切ったのは、フェルメールが最初だった。影は暗い色で置くものだったところへ、青を持ってきたのである。上着の青は瑠璃の石から作る顔料がんりょうで、画面のほかの色は、すべてこの青に従うように選ばれている。壁も卓も椅子も、青を立たせるために抑えられている。
何が描かれているか
若い女が横を向いて立ち、両手で紙を持って読んでいる。顔は下へ向き、口もとがわずかに開いている。手紙である。
上着は明るい青。館によれば、これは朝の場面で、女はまだ青い寝間着のままである。裳は灰みの緑。腕はどちらも前に出していて、紙のほかには何も持っていない。
背後の壁には、巻き軸に留めた大きな地図が掛かる。左には暗い布を掛けた卓があり、その上に紙と箱。青い座面の椅子が、左右に一脚ずつ置かれている。光は左から入っているが、窓は画面に入っていない。
なぜ重要か
この絵でいちばん強いのは、上着の青である。館の言い方では、ほかのすべての色がこの青に従っている。壁も、卓も、椅子も、青を目立たせるために抑えられている。
館は、フェルメールが光の効き方を正確に写しとった、と書く。そのうえで、肌をやわらかい灰色にし、壁の影を淡い青にすることへ最初に踏み切ったのはこの画家だ、としている。それまで誰もやらなかったことだ、ということである。
制作背景
1712年6月14日、アムステルダムの競売にこの絵が出ている。値は110ギルダーだった。
1759年、同じ市に住んでいたモーゼス・デ・シャーヴェスが亡くなり、遺産の目録が作られた。そこにこの絵は、デルフトのフェルメールによる青い娘、と書かれている。題が決まっていなかった時代に、人がこの絵をどう覚えていたかが分かる。
その後もこの絵は競売から競売へ渡り、1809年にはパリで200フラン、1825年には千フランを超えるまでになった。いまは市の所蔵で、館に預けられている。
1935年には、この絵を含むフェルメール展が開かれている。館はその展示歴を、いまも作品の記録に残している。
寸法
46.5 × 39 cm
材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
アムステルダム国立美術館
目録
SK-C-251
出典:アムステルダム国立美術館 作品ページ2026-08-29 確認)