1716〜1717年頃
30代前半頃

愛のレッスン

画家 ヴァトー
La Leçon d'amour / スウェーデン国立美術館
ギターを弾く人のまわりで、男女が静かに過ごしている。題名は《愛のレッスン》だが、教室の授業を描いた絵ではない。音楽、しぐさ、庭の彫像を通して、人が誰かに近づこうとする小さな動きを眺める作品だ。

何が描かれているか

左の男性はギターを構え、右の人々へ身体を向けている。右手前には青い服と黄色い服の女性が座り、右奥には、台座に腰を下ろして身をかがめる女性の彫像が見える。遠景の空と木陰の暗さが、小さな集まりを包んでいる。
女性たちは同じ場所にいても、顔や手の向きを少しずつ変えている。音楽を聞く人、隣へ注意を向ける人をたどると、集合写真のような正面向きの整列とは違う、会話の途中のような場面に見える。

作品の見どころ

青い服の女性と、その後ろの彫像を見比べてみよう。どちらも身体を斜めに向け、腕を伸ばしている。所蔵館もこの姿勢のつながりを指摘しており、生身の人物と庭の飾りが響き合うところが面白い。
細い枝、葉の茂み、服の光沢で、同じ暗い部分にも違いがある。まず黄色い服を目印にし、そこからギター、顔、空へと目を移すと、細部に迷わず小さな画面の広がりを味わえる。

制作背景

1716〜1717年頃、板に油彩ゆさいで描かれた作品。雅宴画という、庭園などに集う人々の交流や恋の気配を見せる絵の一例として見ることができる。特定の日の集まりを記録したと決めつける必要はない。
現在はスウェーデン国立美術館に所蔵される。題名に「レッスン」とあっても、誰が誰に何を教えているのかは明示されない。その曖昧さを残し、音楽を囲む人の距離や視線から場面を考えてみたい。

作品情報

材質・技法
板に油彩
所蔵
スウェーデン国立美術館
目録番号
NM 5015

出典・画像について

画像:Jean-Antoine Watteau愛のレッスン》/愛のレッスン — Jean-Antoine Watteau / Erik Cornelius / Nationalmuseum / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-10 確認)
所蔵館によるPublic Domain公開画像です。
間違いを見つけたら、教えてください →