1891年
42歳頃

オデュッセウスとセイレーン

画家 ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス
Ulysses and the Sirens / ヴィクトリア国立美術館
古代のつぼ絵を参照し、歌の誘惑を襲いかかる鳥の群れとして可視化した。

何が描かれているか

帆柱に縛られたオデュッセウスの船へ、女性の頭と鳥の体をもつセイレーンが群れで迫る。
船員は耳を塞ぎ、櫂をこいで岩場を通り抜けようとする。
セイレーンは美しい女性の上半身ではなく、女性の頭と鳥の体をもつ姿で船へ群がる。船員は櫂を握り、オデュッセウスは帆柱へ縛られたまま歌に反応するため、聞こえない音の力が、襲いかかる翼と引き絞られた縄の動きに置き換えられている。

作品の見どころ

聞こえない歌の力を、鳥が一斉に船へ襲いかかる激しい動きへ置き換える。
横長画面の中で船を斜めに進ませ、狭い海峡の危険と速度を強調する。
船首から帆柱、鳥の群れへ視線を動かすと、船が進む力とセイレーンが押し戻す力がぶつかる。横長画面は海峡の狭さを伸ばし、魅惑的な歌を美しい静けさではなく身体的な攻撃として見せる。

制作背景

1891年制作。ホメロス『オデュッセイア』に基づき、人物の頭と鳥の体という姿は大英博物館の古代ギリシャ壺を参照した。
同年のロイヤル・アカデミーで発表され、セイレーンの表現や購入をめぐって当時から議論を呼んだ。
ホメロス『オデュッセイア』の場面で、船員は耳を蜜蝋で塞ぎ、歌を聞きたいオデュッセウスだけが帆柱に縛られる。鳥身の姿は大英博物館の古代ギリシャ壺を参照した。1891年のロイヤル・アカデミー展に出品され、同年にヴィクトリア国立美術館が画家から購入した。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
ヴィクトリア国立美術館
位置づけ
目録番号 p.396.3-1

出典・画像について

画像:John William Waterhouseオデュッセウスとセイレーン》/オデュッセウスとセイレーン — John William Waterhouse / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-13 確認)
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