何が描かれているか
魔術師が杖で地面に円を描き、その内側で大釜から煙が上がる。円の外には黒い鳥が集まる。
作品名は場所や物語の固有名を示さず、儀式そのものが主題になる。
地面の円は人物と火を囲み、外側の黒い鳥や荒地と内側の儀式を分ける。杖の斜線、伸びた腕、立ち上る煙を順に追うと、静止した画面の中に回転する動きが生まれ、魔術師が空間そのものを変えているように感じられる。
作品の見どころ
円が人物と火を守る境界となり、外側の鳥や荒地と内側の儀式を分ける。
杖の斜線、伸びる腕、煙の流れが、静止画の中に時計回りの動きを作る。
円の内側と外側を見比べると、火、煙、人物はまとまり、鳥と荒地は距離を置く。境界は見えない力を説明するだけでなく、鑑賞者が儀式へ入れるかどうかまで問いかける舞台装置になっている。
制作背景
1886年制作。魔女や魔術師はウォーターハウスが後にも繰り返す主題である。
杖、大釜、地面の円、黒い鳥を組み合わせ、魔術の最中を一つの場面として描く。
作品名は特定の土地や物語を示さず、衣装、杖、大釜、鳥を組み合わせて魔術の場面を作る。ウォーターハウスはこの後もキルケやメディアなど、知識と力をもつ女性を繰り返し描き、本作はその主題へ進む初期の作品にあたる。