何が描かれているか
年老いた水売りが大きな土器の水瓶の横に立ち、透明なグラスを少年へ渡す。少年はグラスへ手を伸ばし、暗い背景にはもう一人の人物が器から水を飲む姿が見える。
画面右下を大きな水瓶が占め、ざらついた表面には水滴が光る。左には別の水瓶があり、その上に小さな白い器が置かれる。手渡されるグラスや奥の器にも、水を入れる形が繰り返される。
作品の見どころ
老人のしわと粗い衣服、少年のなめらかな肌、土器、ガラスが異なる質感で描かれる。顔の表情を強調しなくても、光の当たる手とグラスが二人の静かなやり取りを中心にする。
水売りは当時の都市で日常的な仕事を担った人である。ここでは身近な職業を軽い風俗描写にせず、人物を大きく置き、動作をゆっくり見せることで重みのある場面にしている。
制作背景
ベラスケスのセビーリャ時代の作品で、制作年は1617年頃から1623年頃までの幅がある。現在はロンドンのアプスリー・ハウスにあるウェリントン・コレクションが所蔵する。
単年を決めるより、《卵を料理する老女》と同じく、若い画家が人と日用品を強い明暗の中で観察した時期の作品として見る。手前の水瓶を大きく描くことも、ボデゴンの静物への関心を示す。