1439年
40代後半頃

泉の聖母

画家 ヤン・ファン・エイク
Madonna at the Fountain / アントワープ王立美術館
手のひらほどの小画面に、布、花、金属の反射を凝縮する。1439年の署名と画家の銘句を持つ晩年作。

何が描かれているか

聖母が幼子おさなごを抱き、二人の天使が背後で金糸模様の布を掲げる。前景には獅子の飾りを持つ金属の泉が立つ。
幼子は聖母の首へ腕を回し、もう一方の手に祈りの数珠を持つ。足元にはスズラン、バラ、アヤメなどの花が見える。天使の掲げる布が浅い舞台のような背景を作り、母子と泉を鑑賞者のすぐ前へ押し出している。

作品の見どころ

縦19センチほどの小画面に、金属の反射、花、羽根、織物を凝縮している。小ささが細部を見るための近い距離を求める。
泉は聖母を『泉』にたとえる宗教的な言葉と結びつく。実在する物の光沢が、象徴を見つける入口になる。母子の触れ合いから泉、足元の花へ視線を下ろすと、小画面の中に親密さと象徴が順序よく収まる。

制作背景

1439年の署名と『ALS ICH CAN』の銘句があり、アントワープ王立美術館が411として所蔵する。
個人の祈りに使う小品と考えられるが、誰のために作られたかは分かっていない。注文主が分からない作品では、誰が祈ったかを想像で補わず、寸法と描かれた近さを用途の手掛かりにする。

作品情報

材質・技法
板に油彩ゆさい
所蔵
アントワープ王立美術館
目録番号
411

出典・画像について

出典:アントワープ王立美術館 4112026-09-10 確認)
画像:Jan van Eyck泉の聖母》/Jan van Eyck, 泉の聖母, via Wikimedia Commons.
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0 / PD-Art(画像情報:2026-09-10 確認)
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