何が描かれているか
聖母は赤い衣を大きく広げて玉座に座り、裸の幼子へ授乳する。足元には幾何学模様のタイルが奥へ続く。
窓辺と棚には、水差し、鉢、果物などの小さな物が置かれる。聖なる人物が、手の届きそうな室内へ現れる。聖母の赤い衣が手前へ張り出し、狭い部屋の中で母子だけを大きく包み込むように見える。
作品の見どころ
赤い衣は玉座の形を包み込み、画面の大部分を占める。細かな床や木材に対し、布の大きな面が人物を近く見せる。
授乳する聖母は幼子の人間らしい身体を強調する。家庭的な動作と玉座の威厳を同時に見せる点が特徴である。左右の窓や棚から中央の母子へ目を戻すと、日用品のある室内と玉座の厳かな形が同居している。
制作背景
シュテーデル美術館は1437年頃、目録番号944として所蔵する。名称はかつてルッカ公のコレクションにあったことに由来する。
小型の個人礼拝用と考えられるが、最初の注文主は確認できていない。注文主が不明なため、特定の人物の事情へ結びつけず、小ささと近距離で見る構成から用途を考える。