何が描かれているか
野原いっぱいに、小さな翼を持つ子どもたち、クピドが集まる。木から落ちた果実を拾い、籠へ運び、抱え、互いに見せる。右奥では女性たちがヴィーナス像の前に立つ。
一人の英雄を大きく置くのではなく、数えきれない小さな動作を画面全体へ散らしている。近くで一人ずつ追う見方と、離れて群れ全体を見る見方が行き来する。
作品の見どころ
裸体の明るい肌、緑の草、赤や白の布、青空が細かく繰り返される。似た形のクピドが多くても、向きや姿勢、持つ物を変えることで、画面が同じ調子にならない。
右端のヴィーナス像は静止し、手前のクピドは忙しく動く。動かない崇拝対象と、そこへ供物を集める群像の差が、画面の物語を作る。
制作背景
フェラーラ公アルフォンソ1世・デステの書斎、カメリーノ・ダラバストロのために1518年に描かれた。プラド美術館は、古代の著述家フィロストラトスが記した架空の絵の説明を主な出発点としている。
古代作品をそのまま複製したのではない。文章に書かれた果実を集めるクピドたちを、ティツィアーノが色と動きのある新しい画面へ置き換えた。