1554年
60代半ば頃

ヴィーナスとアドニス

画家 ティツィアーノ
Venus and Adonis / プラド美術館(マドリード)
狩りへ向かうアドニスを、ヴィーナスが背後から引き止める。古典の文章をそのまま図にせず、別れを予感させる身体の反対方向の動きを作った「ポエジー」。

何が描かれているか

狩りへ出るアドニスが右へ進み、ヴィーナスが後ろから抱きついて止めようとする。犬たちは前へ飛び出し、木の下ではクピドが眠る。遠い空では、悲劇の結末を思わせる光が広がる。
ヴィーナスの身体は左へ残り、アドニスの上半身と脚は右へ向かう。二人の身体が逆方向へ引かれ、別れたくない力と進もうとする力が同時に見える。

作品の見どころ

物語を知っていれば、狩りの後にアドニスが死ぬことが分かる。しかし絵が選んだのは死の場面ではなく、その前の別れである。結果よりも、止められない動きへ緊張を集めている。
ヴィーナスの明るい背中、アドニスの赤い衣、犬の白と茶が横方向に並ぶ。肌の柔らかさと狩猟具の硬さの違いも、愛の場と狩りの場を分ける。

制作背景

1554年にフェリペ2世へ送られた「ポエジー」の一作である。ポエジーは「詩」を意味し、神話を絵画で自由に語り直す連作れんさくを指す。
プラド美術館によれば、アドニスがヴィーナスの抱擁から離れるこの瞬間は、古典の文章にそのまま書かれた場面ではない。ティツィアーノが物語の間を絵として作った。
同じ主題の別作品があります
ここでは1554年のプラド所蔵版を扱います。ゲティ、メトロポリタン美術館などの異版とは区別します。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
プラド美術館
目録番号
P000422

出典・画像について

出典:プラド美術館 作品記録2026-09-10 確認)
画像:Titianヴィーナスとアドニス》/Titian, Venus and Adonis, Museo del Prado, via Wikimedia Commons.
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0 / PD-Art(画像情報:2026-09-15 確認)
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