教皇パウルス3世と孫たち
画家 ティツィアーノ →Pope Paul III with His Grandsons Alessandro and Ottavio Farnese / カポディモンテ美術館(ナポリ)
老教皇が椅子に座り、二人の孫が異なる距離と姿勢で近づく。赤い衣の大きな色面の中に、敬意、警戒、家族政治の緊張が入り交じる。
何が描かれているか
老いた教皇パウルス3世が椅子に座り、右側から孫オッターヴィオが腰を深く曲げて近づく。左奥には、枢機卿の赤い服を着たもう一人の孫アレッサンドロが立つ。
三人は同じ家族だが、姿勢も視線もそろわない。教皇は近づくオッターヴィオを見て、アレッサンドロは正面に近い向きで距離を置く。家族肖像が同時に政治的な面会の場面になる。
作品の見どころ
背景、卓上、衣服に赤が広がる一方、顔と手だけは明るく浮かぶ。大きな色面の中で、指先や目線の小さな違いが重要になる。
衣服や周辺には、頭部ほど仕上げられていない部分が残る。荒い筆づかいをすべて晩年の完成表現と決めず、制作が止まった可能性も含めて見る。
制作背景
1545年から1546年、ティツィアーノがローマでファルネーゼ家と関わった時期の作品である。現在はナポリのカポディモンテ美術館にある。
教皇の権威を示す公式肖像でありながら、三人を均等に整列させない。依頼主一家の理想像だけでなく、世代と役割の違いを残した点が特徴である。
完成度に差が残る作品です
頭部など精密な部分と、衣服や周辺の粗い部分が同居します。すべてを意図的な晩年様式とは決めつけません。
出典・画像について
画像:Titian《教皇パウルス3世と孫たち》/Titian, Pope Paul III with His Grandsons, Museo e Real Bosco di Capodimonte, via Wikimedia Commons.
忠実な美術作品複製の法的扱いには法域差があります。
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