何が描かれているか
高い台座の右上に、幼いキリストを抱く聖母が座る。左から聖ペテロとひざまずくヤコポ・ペーザロが近づき、右には聖フランチェスコ、聖アントニウス、ペーザロ家の人々が並ぶ。
画面の中央は聖母ではなく、巨大な柱と空へ開いている。人物は左下から右上へ斜めに続き、見る人の位置から祭壇上の聖母へ視線を導く。
作品の見どころ
聖母を中央に置く左右対称の構成を崩しても、画面は不安定にならない。旗、聖ペテロの鍵、赤い衣、白い衣、柱の方向が、離れた人物を結ぶ。
右下の家族の中で、一人の少年だけがこちらを見る。祈りの場面と現実の見る人をつなぐような視線であり、依頼主の家族を宗教画へ参加させる肖像の働きも示す。
制作背景
1519年から1526年に制作され、現在もヴェネツィアのフラーリ聖堂にある。祭壇へ近づく人が斜めから見る位置と、画中の斜めの構成が結びつく。
依頼主一家の身分や歴史を説明するだけでなく、教会の特定の場所で人物と建築がどう見えるかを設計した作品として見る。