何が描かれているか
夜空が画面の4分の3を占めている。渦を巻き、波のようにうねっている。右端に三日月、中央より少し左に金星が、それぞれ白と黄の輪に包まれて光る。
その下に、教会を囲む小さな村が静かに横たわる。尖塔は、背後の青黒い山なみより高く、鋭く突き出ている。空の激しさと比べると、村のほうは物音ひとつしない。
作品の見どころ
夜の絵でありながら、この絵は昼のうちに、何回かに分けて描かれた。見た条件とはまるで違う状況で仕上げられている。窓から村は見えなかったし、糸杉も実際よりずっと手前に描かれている。
見たものを写すのをやめて、感じたことを色と形で言う。ゴッホがここでやったのはそれである。青と黄を勢いよく置いた筆の跡は、外の世界を語ると同時に、絵の具そのものとしても目に入ってくる。近代絵画が気分・表現・象徴へ向かう入口に、この1枚が立っている。
制作背景
1889年6月、36歳。南フランスのサン=レミにある療養所で描かれた。サン=ポール=ド=モーソルという名の施設で、ゴッホは1889年から翌年にかけての12か月をここで過ごしている。
窓の外の眺めがきっかけになった。ただしそのまま写したわけではない。村は窓から見えず、別の眺めをもとにしている。教会の尖塔はフランスのものというより、彼が生まれたオランダでよく見る形をしている。