何が描かれているか
水辺に細い二本の木が立ち、低い太陽、遠い山、島、水面が水平な帯として重なる。葉の少ない枝は空へ伸びるが、画面の大部分は静かな色面で占められる。
太陽は強く輝く円ではなく、赤と橙の帯の中へ沈みかける。手前の地面と木は暗く、遠景だけに残る暖色が、一日の終わりを近く感じさせる。
作品の見どころ
縦に伸びる二本の木と、横に広がる水と山が直角に交わる。風景を奥へ自然に続く空間として描くより、垂直線と水平線を組み合わせた構成として整理している。
左右の木は似ているが同じではない。枝の曲がりや葉の残り方を比べると、風景が単なる背景でなく、人の身体のように異なる状態を持つ存在として見えてくる。
制作背景
1913年制作。レオポルド美術館の解説では、沈む太陽は生成と消滅を繰り返す生命の循環を示すモチーフとして位置づけられている。シーレの風景画に共通する主題である。
人物画で知られるシーレだが、都市、家、木、山も繰り返し描いた。風景へ人間の感情をそのまま投影したと断定するのではなく、同じ線と色の緊張を自然にも用いたと見るとよい。