何が描かれているか
暗い服を着たシーレが肩越しにこちらを向き、赤いホオズキの枝が胸元を斜めに横切る。頭部と肩は画面いっぱいに近く、背景はほとんど何もない明るい面である。
黒い髪、白い顔、暗い衣、赤い実が明確に分かれ、細い茎だけが人物の輪郭を越える。自然物を添えた肖像だが、庭や室内を説明せず、顔と枝の関係へ集中させる。
作品の見どころ
鋭く曲がる肩の輪郭と、折れやすそうなホオズキの茎が似た緊張を持つ。赤い実は顔から離れた小さな色の点となり、視線を胸元へ引き戻す。
真正面ではなく少し見返る姿勢のため、鑑賞者へ近づく感じと距離を置く感じが同時にある。整った記念肖像ではなく、見る者と見られる画家の緊張を短い距離に閉じ込めた。
制作背景
1912年制作。レオポルド美術館では《ヴァリー・ノイツィルの肖像》と対をなす作品として扱われ、二人の頭部と肩の向き、明るい背景、植物の色が呼応する。
対作品として見ると、自画像だけに意味を閉じず、画家と重要なモデルの関係が展示上の構成にもなる。ただし顔つきから二人の心理を断定せず、画面の向きと色の対応を手がかりに見る必要がある。