何が描かれているか
暗い衣の男性と女性が地面で抱き合う。男性は女性の頭を包み、女性は腕を背へ回すが、二人の顔は同じ方向を向かず、完全には一つにならない。
二人の下には白い布が不規則に広がり、その外側は荒れた褐色の地面である。衣の大きな形は二人を守る毛布のようにも、逃げ場を閉じる重い殻のようにも見える。
作品の見どころ
女性の明るい顔から、男性の暗い顔、手、広がる衣へ視線を動かすと、抱擁の親密さと別れの距離が同時に現れる。題名が生と死の対立を明確にする。
人物を立たせず、上から見下ろすように地面へ置いたため、背景の広がりが二人の孤立を強める。複雑な遠近法より、布と衣の輪郭が感情の形として働く。
制作背景
1915年、シーレが長年の伴侶ヴァリーと別れ、エディット・ハルムスと結婚した時期に制作された。ベルヴェデーレは、ヴァリーとの関係に別れを告げる作品として位置づけている。
同時期には第一次世界大戦と軍務の不安もあった。個人的な別れだけで全要素を説明せず、恋愛、死、戦時下の不確かさが重なった作品として見ると、題名の広がりを保てる。