1892年
36歳頃

レディ・アグニューの肖像

画家 ジョン・シンガー・サージェント
Gertrude Vernon, Lady Agnew of Lochnaw / スコットランド国立美術館
正面からの視線とくつろいだ姿勢が、上流階級の肖像に新しい近さを生む。

何が描かれているか

白いドレスと紫の帯を身につけたレディ・アグニューが、花柄の絹布を背に椅子へ座る。
左手は椅子の腕に置かれ、体を少し斜めにしながらこちらをまっすぐ見る。身体は椅子の背へ預けられ、片腕は力を抜いたように肘掛けへ伸びる。正面から見返す顔と斜めにかしく胴体を組み合わせることで、公式肖像の格式と自然な姿勢が同居する。

作品の見どころ

正面を向く視線とくつろいだ姿勢が、儀礼的な肖像に親しさと自信を加える。
白いドレスには灰、青、桃色が素早い筆触で重ねられ、紫の帯が全身を斜めに結ぶ。背後の花柄は細部を均一に描かず、人物の周りで色のまとまりとして広がる。白い衣服、紫の帯、淡い青緑の布地を順に見ると、顔へ視線が戻る色の流れができている。

制作背景

1892年作。モデルは1889年にアンドルー・アグニューと結婚したガートルード・ヴァーノンである。
1893年にロイヤル・アカデミーで公開され好評を得て、サージェントがロンドンの肖像画家として評価を固める一作になった。1893年の公開が画家の英国での評判を高めたことは所蔵館が説明している。一方、依頼に至った正確な事情は不明なので、夫婦の意図やモデルの気持ちまでは断定しない。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
スコットランド国立美術館
目録番号
NG 1656

出典・画像について

画像:John Singer Sargentレディ・アグニューの肖像》/レディ・アグニューの肖像 — John Singer Sargent / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-12 確認)
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