日没直前の短い光を重ね、少女と灯籠を花の中に浮かべた。
何が描かれているか
白い服の二人の少女が、花の茂る庭で紙灯籠へ火をともしている。
白いユリ、赤いカーネーション、橙色の灯籠が、青みを帯びた夕暮れの中に点在する。一人は立って灯籠を持ち、もう一人は花の間で身をかがめる。少女、ユリ、灯籠が画面の奥まで繰り返されるため、庭の中に同じ形が連なるように見える。
作品の見どころ
少女の白い服と花は空の冷たい光を受け、灯籠だけが内側から暖かく光る。
立ち上がるユリと丸い灯籠を繰り返すことで、奥行きの浅い庭を装飾的な模様のようにも見せる。空が暗くなり始めても、白い服とユリには青みを帯びた光が残る。そこへ灯籠の橙色が重なるため、夕方の冷たい光と人工の暖かい光を同時に比べられる。
制作背景
1885年夏、イングランドのブロードウェイ村で着想し、1886年まで制作した。モデルは画家フレデリック・バーナードの娘ドリーとポリーである。
夕暮れの光を合わせるため、サージェントは毎日わずかな時間だけ戸外で描き、秋には鉢植えの花も用いた。二夏にわたる制作と短い夕暮れの作業時間は、光の状態をそろえる難しさを伝える。完成画を一瞬の速写と考えず、同じ時間帯を待ちながら積み重ねた作品として見る。
出典・画像について
画像:John Singer Sargent《カーネーション、リリー、リリー、ローズ》/カーネーション、リリー、リリー、ローズ — John Singer Sargent / Wikimedia Commons
Public Domain表示の忠実な複製画像です。扱いは国・地域によって異なります。
間違いを見つけたら、教えてください →アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。
この画家について本で読む
アメリカ印象派 摩天楼・大自然・新しい女性
坂上 桂子 監修/大橋 菜都子 著 / 東京美術
サージェント、カサット、ハッサムらを通して、フランスからアメリカへ広がった印象派と近代社会の変化を見渡せる画集です。
楽天ブックスで見る →