おそらく1622〜1625年
40代半ば頃

シュザンヌ・ルンデンとされる女性の肖像(麦わら帽子)

画家 ルーベンス
Portrait of Susanna Lunden(?) ('Le Chapeau de Paille') / ロンドン・ナショナル・ギャラリー
大きな帽子の下から、若い女性がこちらを見る。通称は《麦わら帽子》だが、帽子はフェルト製。女性はシュザンヌ・ルンデンと考えられているものの、確定していない。顔に落ちる柔らかな影と、胸元の明るさを見比べると面白い。

何が描かれているか

女性は暗い帽子をかぶり、赤いそでの衣を着て、両手を身体の前で重ねる。背後には青みを帯びた空が広がる。帽子に添えられた羽根が、輪郭りんかくを大きく横へ伸ばしている。
帽子のつばは額や目のまわりへ影を落とすが、表情は隠れてしまわない。胸元や首の明るさが顔へ目を導き、黒い衣の中でも肌の柔らかさが感じられる。

作品の見どころ

肖像画を見るときは、顔だけでなく手にも注目したい。重ねた手の落ち着いた形に対し、帽子や袖には広がりがある。この大小の差で、人物は静かでも画面は単調にならない。
屋外の空と装いの色が組み合わされ、暗い帽子も重苦しいだけには見えない。帽子の影の内側にも明るさが残るところを、拡大して確かめてみよう。

制作背景

おそらく1622〜1625年の制作。モデルをシュザンヌ・ルンデンとする見方が有力だが、所蔵館の作品名にも疑問符が付いている。1622年の結婚に関係するという説明も、可能性として読む必要がある。
《麦わら帽子》という名は18世紀にさかのぼる呼び方で、描かれた素材を正確に言い表してはいない。作品名から思い浮かべた姿と、実際に見えるものが違う好例でもある。

作品情報

材質・技法
板に油彩ゆさい(おそらくオーク)
所蔵
ロンドン・ナショナル・ギャラリー
目録番号
NG852

出典・画像について

画像:Peter Paul Rubensシュザンヌ・ルンデンとされる女性の肖像(麦わら帽子)》/シュザンヌ・ルンデンとされる女性の肖像(麦わら帽子) — Web Gallery of Art / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-10 確認)
Public Domain表示の画像です。忠実な複製画像の扱いは国・地域によって異なります。
間違いを見つけたら、教えてください →