何が描かれているか
白い寝台の上でマリアが身を縮め、白い衣の天使がユリを差し出す。
青い布と赤い刺繍台が、ほぼ白一色の狭い部屋に置かれる。マリアは壁際の低い寝台で膝を寄せ、天使は画面左から細長いユリを伸ばす。天使の足元には炎のような光があり、二人の間の狭い空間をさらに強く区切る。
作品の見どころ
伝統的な受胎告知の豪華な宮殿を避け、寝起きのようなマリアの驚きと緊張を前に出す。
奥行きの浅い縦長画面に二人を詰め、突然逃げ場がなくなった感覚を作る。寝具、衣、壁の白は同じ一色ではなく、青みや黄みの差で形が分かれる。赤い刺繍と青い布だけを小さく置くことで、マリアの身体とユリへ視線が戻る。二人の間にはほとんど余白がない。
制作背景
1849〜1850年作。マリアには妹クリスティーナ、天使には弟ウィリアム・マイケルをモデルに用いた。
題名はラテン語で、マリアが天使に答える『見よ、私は主のはしためです』という言葉に由来する。伝統的な受胎告知との違いは、豪華さがないことだけではない。天使が現れた直後の距離の近さと、視線をそらすマリアの反応を前面に置いた解釈として見る。