1859年
31歳頃

ボッカ・バチアータ(口づけされた唇)

画家 ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
Bocca Baciata (Lips That Have Been Kissed) / ボストン美術館
物語を薄くし、花と宝飾品に囲まれた女性の美を画面いっぱいに押し出す。

何が描かれているか

赤い髪の女性が正面近くを向き、髪飾り、首飾り、花、林檎に囲まれる。
背景の鏡には室内の一部が映り、人物の周囲を豪華な物で満たしている。女性は胸から上を大きく切り取られ、顔と赤い髪が画面のほとんどを占める。手前の花と果物、首元の宝石、背後の鏡が近い距離に重なり、空いた場所が少ない。

作品の見どころ

物語の場面を説明せず、顔、髪、肌、宝飾品の質感そのものを鑑賞の中心にする。
赤、緑、金の近い色を重ね、人物を画面のすぐ手前まで押し出す。肌の明るさ、髪の赤、背景の深い緑が大きな色面を作り、その間に金の飾りが細かく光る。正面に近い顔と横へ流れる髪を比べると、静止と装飾の動きが同居する。

制作背景

1859年作。モデルはファニー・コーンフォース。題名はイタリア語で『口づけされた口』を意味する。
板の裏にはボッカッチョの言葉が記されており、口づけされた唇は月のように新しくなるという内容である。裏面の銘文は作品を読む手掛かりだが、女性を物語上の特定人物へ決めるものではない。モデルの肖像と文学的な女性像の間に置かれた絵として、名前以上に画面の作りを見る。

作品情報

材質・技法
板に油彩ゆさい
所蔵
ボストン美術館
モデル
ファニー・コーンフォース

出典・画像について

画像:Dante Gabriel Rossettiボッカ・バチアータ(口づけされた唇)》/ボッカ・バチアータ(口づけされた唇) — Dante Gabriel Rossetti / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-12 確認)
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