何が描かれているか
豪華な衣を着た花嫁が顔の前の布を上げ、正面から鑑賞者を見る。
周囲を複数の侍女と黒人の少年が囲み、花と宝飾品が画面全体を満たす。花嫁の顔は中央で布から現れ、その周囲に四人の女性の顔が弧を描く。手前の少年は花を差し出し、人物の手、布、首飾りが中央へ向かう動きを作っている。
作品の見どころ
中央の顔を円形に取り囲む人物と花が、花嫁を礼拝像のように強調する。
美しい色彩と視線の強さを楽しめる一方、人物の人種を装飾的に配置したヴィクトリア朝の視線も考える必要がある。肌、髪、織物、花を細かく描き分け、赤、緑、金、白を狭い画面へ密集させる。背景の奥行きより顔の並びが先に見えるため、行列ではなく正面性の強い像になる。
制作背景
1865〜1866年作。『旧約聖書』の恋愛詩『雅歌』から着想した。
中心人物は複数のモデルを経て描かれ、画面は物語の再現より、花嫁の美を直接見せる構成になった。『雅歌』からの着想と、異なる人種の人物を美の比較や装飾として並べた当時の表現は分けて考えたい。華やかさを楽しむだけでなく、誰が中心と周縁に置かれたかも見る。