眼鏡を試す男へ、売り手ともう一人の人物が顔を寄せている。まず中央の眼鏡と、それを挟む三人の視線を追いたい。レンブラントが18歳頃に描いた最初期の作品で、小さな画面に一つの行為を詰め込んでいる。
何が描かれているか
左の男は眼鏡を鼻先へ当て、中央の人物は目を閉じるように顔を寄せる。
右の売り手は大きな帽子と明るい衣装をまとい、手前には商品を並べた箱が開く。顔、指、眼鏡が近いため、見る人も取引をのぞき込む位置に置かれる。
作品の見どころ
後年の壮大な集団肖像とは違うが、「人が何かを見ようとする瞬間」を身ぶりで伝える関心はすでにある。
明暗法とは、明るい部分と暗い部分の差で、形や物語の焦点を作る方法である。この絵では均等に照らさず、顔と手を選んで見せている。まず中央の眼鏡、次にそれを扱う指、最後に三人の顔へ視線を移すと、何を売り、誰が確かめている場面かがつかみやすい。小画面でも、物と身ぶりの距離が物語を支えている。
制作背景
1624年頃、ライデンで自身の工房を構えた時期の作品である。
完成期の技法を先取りした傑作と持ち上げるより、近距離の人物、誇張された表情、日用品を使い、短い物語をどう読ませるか試した出発点として位置づけたい。板に油彩で描かれ、支持体は21×17.8センチ。ラーケンハル美術館が所蔵する。