哲学者アリストテレスが、詩人ホメロスの胸像へ手を置く。もう一方の手は腰の金鎖へ近づく。石の詩人、考える哲学者、金のメダルに表された権力者アレクサンドロス大王が、一つの身体の動きで結ばれる。
何が描かれているか
左の胸像は淡い光を受け、アリストテレスの手がその頭に触れる。人物の顔は半ば影に沈み、白い袖と金鎖が暗い衣装から浮かぶ。
視線、右手、左手の三つを追うと、絵の中で別々の人物と価値がつながる。
作品の見どころ
アリストテレスが名声と知恵のどちらを選ぶか悩んでいる、と内心まで断定する必要はない。
画面に確かにあるのは、詩人の胸像へ触れる手と、権力を示す金鎖の近くへ置かれた手である。物の配置から考える余地を作る物語画として見たい。まず胸像へ触れる右手、次に人物の顔、最後に金鎖近くの左手を見ると、三つの要素の関係を自分で考えられる。答えを表情だけに求めず、材質と手の位置を比べるのが入口になる。
制作背景
1653年、シチリアの収集家アントニオ・ルッフォの注文で制作された。
古代の三人を説明的に並べず、胸像、金鎖のメダル、哲学者の手で結びつけている。石、布、金属、肌の描き分けも重要である。カンヴァスに油彩、143.5×136.5センチで、メトロポリタン美術館が所蔵する。
出典・画像について
画像:Rembrandt van Rijn《ホメロスの胸像を見つめるアリストテレス》/Rembrandt van Rijn, The Metropolitan Museum of Art, CC0.
メトロポリタン美術館のOpen Access画像です。
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