1507年
23〜24歳
美しき女庭師。戸外で聖母マリア、幼いキリスト、幼い洗礼者ヨハネが三角形にまとまり、視線と手の動きで結ばれている。
美しき女庭師
La Belle Jardinière / ルーヴル美術館(パリ)
三人は静かに集まっているが、身体は止まっていない。振り向く姿、差し出す手、見上げる顔が続き、一つの動作のようにつながる。中央の三角形を見つけた後は、その輪郭りんかくの中で視線がどちらへ進むかを追いたい。整った構図こうずと人のやわらかな動きが、同時に見えてくる。
何が描かれているか
聖母マリアと幼いキリスト、幼い洗礼者せんれいしゃヨハネが戸外に集まっている。ルーヴルの正式な題名は、この三人を示すものだ。《美しき女庭師》は通称である。作品は縦122センチ、横80センチのポプラ板に油彩ゆさいで描かれている。小さな私的画面ではなく、人物が人の身体に近い大きさで感じられる縦長の絵だ。
通称だけを見ると、庭で働く女性の肖像のようにも聞こえる。しかし描かれているのは聖母子せいぼしと幼い洗礼者ヨハネである。題名が作品の主題をそのまま説明するとは限らない。正式題名と通称を並べておくと、画面を見る前の思い込みをほどくことができる。
なぜ重要か
三人を三角形に収める構成は安定しているが、人物同士は身ぶりによって結ばれる。形が整っていることと、動きが自然であることは反対ではない。まず全体の大きな三角形を見て、次にマリアの顔、幼児の手、もう一人の幼児の視線へ近づくと、全体と細部を行き来できる。
《ヒワの聖母》と同じ三人でも、身体の向きや手の届く方向は同じではない。共通点を見つけた後に違いを探すと、ラファエロが一つの型を機械的に繰り返したのではなく、人物の関係を組み替えていたことが見えてくる。比較は優劣を決めるためではなく、構成の選択を具体化するために役立つ。
制作背景
制作は1507年。ラファエロが1504年末頃にフィレンツェへ移り、レオナルドの絵画やミケランジェロの彫刻を研究した時期にあたる。人物を中央へまとめる方法を、誰か一人の単純な模倣として見るのではなく、フィレンツェで吸収した複数の表現を自分の画面に組み直した時期として見たい。
支持体はポプラ板で、絵は油彩で描かれている。支持体とは、絵の具を載せる土台のこと。画像では画面の形だけが見えやすいが、実物には木の板という重さと厚みがある。寸法と材料を知ると、画面の中の人物だけでなく、物としての絵にも近づける。
寸法
122 × 80 cm
材質・技法
ポプラ板に油彩
所蔵
ルーヴル美術館(パリ)
目録
INV 602 / MR 433
題名
《美しき女庭師》は通称
出典:ルーヴル美術館 作品ページ / フランス国立記念建造物センター 構図解説2026-09-06 確認)
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画像:ラファエロ美しき女庭師》/Raphael, La Belle Jardinière, Musée du Louvre. Photograph: Shonagon, via Wikimedia Commons.
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0 / PD-Art(法域注意)(画像情報:2026-09-06 確認)
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