何が描かれているか
ロンドン郊外の道路に馬車と歩く人々が見え、家並みの向こうに水晶宮の一部が立つ。
近代的な巨大建築を中央へ誇示せず、日常の町並みの中へ置く。広い道路の両側に家と塀が続き、馬車や歩く人が行き交う。水晶宮は遠景の屋根越しに一部だけ見え、巨大な展示施設より、そこへ続く郊外の日常が前面に置かれる。
作品の見どころ
道の斜線と建物の並びが奥へ進み、遠景の水晶宮へ視線を運ぶ。
曇り空の柔らかな光を、灰色、緑、褐色の短い筆触でつなぐ。道路の白っぽい面が手前から奥へ細くなり、建物の縁と電柱のような垂直線が距離を刻む。空と街を灰色だけにせず、淡い青、黄、緑を小さく置いて湿った光を作る。
制作背景
1871年作。普仏戦争を避けて家族とロンドンへ滞在した時期に描いた。
現在はシカゴ美術館所蔵。同館は作品と画像をOpen Accessで公開している。普仏戦争を避けたロンドン滞在中の作品だが、避難生活の感情を直接描いたとまでは言えない。見慣れない都市近郊を歩き、近代建築と住宅地が接する場所を観察した作品として見る。