1885–1886年
21〜23歳

病める子

画家 エドヴァルド・ムンク
Det syke barn / The Sick Child / ノルウェー国立美術館(オスロ)
病床の少女と寄り添う女性を、削り直した跡まで残して描いた。滑らかな完成より、失われた人を思い出そうとする不安定な時間を画面にとどめた初期の転機である。

何が描かれているか

赤い髪の少女が白い枕に支えられ、ベッド脇の女性と手を重ねる。
左には薬瓶と水の入ったコップが置かれ、右側の暗い壁が二人を包む。

作品の見どころ

輪郭りんかくは部分的に溶け、表面には削った跡や塗り直しが残る。
ムンクは完成した場面を滑らかに再現せず、記憶が現れたり消えたりするような画面を作った。見る順番を決めるなら、まず白い枕に支えられた少女の顔と赤い髪を見て、次に二人の重なった手、うつむく女性へ視線を移す。左の薬瓶とコップ、右の暗い壁まで目を広げると、明るい場所が少女の周辺へ集まっていることが分かる。近くでは削り跡や絵具の重なり、離れては二人を包む大きな明暗を比べたい。少女の白い枕と女性の暗い衣服が接する場所を見ると、二人の近さと画面の静けさがいっそう分かりやすい。

制作背景

ムンクは1877年に結核で亡くなった姉ソフィーの記憶とこの主題を結びつけた。1886年に最初の版を出品した際、粗く未完成に見える描き方は激しい賛否を呼んだ。
のちにも同じ主題を繰り返している。
同じ主題の別作品があります
ムンクは《病める子》を繰り返し制作しました。ここでは1885–1886年のノルウェー国立美術館所蔵版を扱います。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
ノルウェー国立美術館
目録番号
NG.M.00839

出典・画像について

画像:Edvard Munch病める子》/Edvard Munch, The Sick Child, National Museum of Art, Architecture and Design, 写真:Børre Høstland, CC BY 4.0.
画像の出典 / CC BY 4.0(画像情報:2026-09-10 確認)
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