煙草を持つ自画像
画家 エドヴァルド・ムンク →Selvportrett med sigarett / Self-Portrait with Cigarette / ノルウェー国立美術館(オスロ)
煙の漂う暗い空間から、顔と煙草を持つ手だけが光に浮かぶ。下からの劇的な光によって、自分を近代的で型破りな芸術家として見せる自画像である。
何が描かれているか
黒い服のムンクが暗い煙の中に立つ。
画面下からの光が顔と右手を照らし、指先の煙草から白い煙が上へ広がる。
作品の見どころ
顔を明るく均一に見せる伝統的な肖像と違い、強い陰影と煙で姿を不安定にしている。
描く手にも見える右手を光らせ、自分を日常の市民ではなく特別な創造者として演出する。最初に光を受ける顔と右手を見つけ、その間に漂う白い煙をたどる。次に黒い衣服と暗い背景へ視線を広げると、身体の輪郭が途中で消えることが分かる。均一な肖像の明るさではなく、下からの光が選んだ部分だけを見る。煙草を持つ姿の意味は所蔵館が紹介する芸術家像の解釈であり、本人の心理を直接読んだ事実とは分けたい。画面下の手から顔へ光をたどり、上部で煙が消えるところまで見ると、縦長の構成がつかみやすい。
制作背景
1895年の自画像である。
煙草は当時の都市的・ボヘミアンな芸術家像と結びつき、劇的な光とともに、ムンクが公の場でどのように自分を見せたかを考える手がかりになる。
出典・画像について
画像:Edvard Munch《煙草を持つ自画像》/Edvard Munch, Self-Portrait with Cigarette, National Museum of Art, Architecture and Design, 写真:Børre Høstland, CC BY 4.0.
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