波打つ空と海の前で、中央の人物が両手を耳へ当てる。人物が叫んでいると決めつけず、ムンクが記した『自然を貫く叫び』を色と線がどう伝えるかを見る。
何が描かれているか
赤、橙、黄の空が波打ち、青い水辺と丘も同じようにうねる。
柵のある道の手前では性別の定まらない人物が両手を耳へ当て、奥では二人が歩いている。
作品の見どころ
空、海、人物の輪郭を連続する曲線にし、橋だけを強い直線にしている。実際の色や形から離れることで、目に見えない不安を画面全体の動きとして感じさせる。
これは象徴主義から表現主義へ進む重要な変化である。まず中央人物の頭部と両手を見て、その輪郭から空、水辺、丘へ続く曲線をたどる。次に道と柵の強い直線へ目を戻すと、手前と奥の方向が大きく分かれる。赤、橙、青の帯を近くで追い、少し離れて人物と風景が同じうねりへまとまる様子を見たい。人物自身が叫んでいると決めず、耳をふさぐような姿と題名の関係を考える。
制作背景
ここで扱うのはノルウェー国立美術館所蔵の1893年版である。ムンクは、友人と歩いていたとき空が血のように赤くなり、『自然を貫く大きな叫び』を感じたと文章に記した。
中央人物自身が叫んだとまでは書いていない。
中央人物が叫んでいるとは限りません
ムンクの文章は『自然を貫く叫び』を感じたと記します。人物が発した声と決めつけず、耳をふさぐ姿として見ます。
出典・画像について
画像:Edvard Munch《叫び》/Edvard Munch, The Scream, National Museum of Art, Architecture and Design, 写真:Børre Høstland, CC BY 4.0.
作品全体を保って表示用に縮小しています。
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