目を閉じた女性の頭を赤い輪が囲み、身体は暗い波のような背景に浮かぶ。宗教画を思わせる題名と官能的な姿が、ひとつの意味に定まらない緊張を作る。
何が描かれているか
裸の女性が目を閉じ、顔を少し傾ける。長い黒髪が肩へ落ち、頭の周囲を細い赤い輪が囲む。
身体の周りには青黒い曲線が重なる。
作品の見どころ
『聖母』を意味する題名と、官能的な身体、赤い光輪のような形が同居する。
宗教画か恋愛の場面かを一つに決めず、生、愛、死が重なる象徴として見ることができる。まず閉じた目と傾いた顔を見て、頭の周囲の細い赤い輪、黒い髪、身体を囲む青黒い曲線へ視線を広げる。明るい肌と暗い背景の境目がどこではっきりし、どこで溶けるかを追うとよい。宗教画か恋愛の場面かを一つに決めず、題名、光輪に似た形、裸体が同時に置かれていることから画面の緊張を考えたい。身体の左右で青黒い線の間隔がどう変わるかを見ると、静かな姿の周囲に流れが生まれる仕組みも分かる。
制作背景
ムンクは1894年から1897年に油彩の《マドンナ》を5点制作した。ここではノルウェー国立美術館の1894年版を扱う。
同館は近年の技術調査から、この版を最初の油彩とみているが、以前は別の順序も考えられていた。
油彩だけでも複数の版があります
1894年から1897年の油彩は5点現存します。ここではノルウェー国立美術館所蔵版を扱います。
出典・画像について
画像:Edvard Munch《マドンナ》/Edvard Munch, Madonna, National Museum of Art, Architecture and Design, 写真:Børre Høstland, CC BY 4.0.
作品全体を保って表示用に縮小しています。
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