病室の死
画家 エドヴァルド・ムンク →Døden i sykeværelset / Death in the Sickroom / ノルウェー国立美術館(オスロ)
病人ではなく、その周囲で別々の方向を向く家族を中心に描いた。個人的な記憶を、同じ部屋にいても共有しきれない悲しみの場面へ組み替えている。
何が描かれているか
緑色の壁の部屋に家族が集まる。
病人は椅子とベッドの辺りにほとんど隠れ、手前の女性、横を向く男性、壁際に立つ人物たちは互いに視線を合わせない。
作品の見どころ
死そのものではなく、同じ部屋でそれぞれ別の方向を向く人々へ焦点を移している。
平たい色面と離れた視線によって、悲しみを共有していても一人ずつ孤立する感覚が生まれる。まず手前の女性を見て、そこから横を向く男性、壁際の人物、ほとんど隠れた病人へ視線を巡らせる。全員の顔を一度に読むのではなく、互いに交わらない視線と身体の向きを順に確かめたい。緑の壁と暗い衣服が平たい面を作り、同じ部屋の人物をつなぎながら隔てている。個々の同定は確定させず、配置から距離を見る。家具の直線と人物の曲がった姿勢を見比べると、動きの少ない室内に緊張が残る。
制作背景
1877年に亡くなった姉ソフィーの記憶を、16年ほど後に組み直した作品である。人物はムンクの家族と一般に結びつけられるが、個々の同定には不確かな部分がある。
主要な二つの絵画版の先後にも議論がある。
制作年と版の順序には議論があります
主要な二つの絵画版があり、どちらが先かは確定していません。掲載版はテンペラと脂性鉛筆で描かれています。所蔵館の表記に従い『おそらく1893年』とします。
出典・画像について
画像:Edvard Munch《病室の死》/Edvard Munch, Death in the Sickroom, National Museum of Art, Architecture and Design, 写真:Børre Høstland, CC BY 4.0.
作品全体を保って表示用に縮小しています。
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