1898年
38歳頃

メデイア

画家 アルフォンス・ミュシャ
Médée / ミュシャ美術館
華やかな舞台ポスターに、母が犯した取り返しのつかない悲劇を正面から置いた。

何が描かれているか

舞台衣装のサラ・ベルナールが短剣を握り、大きく目を見開いて立つ。足元には彼女が殺した子どもたちの身体が横たわり、腕には蛇の形をした装飾が巻きつく。
縦長画面の上部へ人物を大きく置き、顔と短剣を近づける。華やかな衣装を見せるだけでなく、取り返しのつかない行為の直後という、舞台の最も重い瞬間を選んでいる。

作品の見どころ

白く見開いた目から、短剣、垂れた手、足元の身体へ視線が落ちる。上へ伸びるポスター形式に対し、鑑賞者の視線は下へ導かれ、華麗な装飾の中へ悲劇の重さが加わる。
腕を巻く蛇形の装飾は画面の線を強め、舞台衣装としても印象的である。後にベルナールが同様の蛇の腕輪を注文したと伝えられ、ポスターの意匠が実際の舞台像へ戻った例でもある。

制作背景

1898年、カチュール・マンデスの舞台劇《メデイア》で主演したベルナールのために制作された。題材はギリシャ神話に基づき、メデイアが夫への復讐として自分の子どもを殺す物語である。
《ジスモンダ》の静かな立像と比べると、本作は心理と行為の結果を強く示す。同じ女優のポスターでも、装飾様式を繰り返すだけでなく、演じる人物の性格に合わせて構図こうずを変えたことが分かる。

作品情報

材質・技法
舞台劇《メデイア》のポスター
所蔵
ミュシャ美術館
位置づけ
華やかな舞台ポスターに、母が犯した取り返しのつかない悲劇を正面から置いた。

出典・画像について

出典:ミュシャ美術館 展示案内2026-09-14 確認)
画像:Alphonse Muchaメデイア》/メデイア — Alphonse Mucha / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-14 確認)
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