1894年
34歳

ジスモンダ

画家 アルフォンス・ミュシャ
Gismonda / ロサンゼルス・カウンティ美術館
女優を等身大の聖人のように立たせ、舞台広告を街の記念碑へ変えた出世作。

何が描かれているか

女優サラ・ベルナールが、舞台《ジスモンダ》の主人公として棕櫚の枝を持ち、正面近くを向いて立つ。豪華な衣装と頭飾りは細密だが、背景は浅く、人物の輪郭りんかくが遠くからでも読める。
上部のアーチには作品名、下部には劇場名が入り、細長い紙面全体が一人の人物を掲げる柱のように見える。文字も後付けの説明ではなく、人物を囲む装飾の一部である。

作品の見どころ

淡い色の中で、顔と棕櫚の枝だけが静かな緊張を作る。誇張した動作を避け、動かずに立つ姿を長い縦線で強めたため、街頭広告でありながら宗教画の聖人像のような気配が生まれた。
足元から衣装の縦線を上へ追い、円形の頭飾り、上部の文字へ進むと、視線が一度も画面外へ逃げない。人物、模様、文字を一体化する、後のポスターにも続く方法がすでに現れている。

制作背景

1894年末、パリの劇場ルネサンスで上演される新年公演のために制作された。ベルナールはこのポスターを高く評価し、ミュシャは以後、舞台ポスターや衣装、装飾を継続して手がけた。
突然の成功は「無名の絵画家が一晩で発見された」という物語で語られやすい。ただし重要なのは偶然だけでなく、劇場装飾と挿絵で培った人物、文字、縦長画面の経験が一枚に結びついた点である。

作品情報

材質・技法
多色石版画はんが
所蔵
ロサンゼルス・カウンティ美術館
位置づけ
女優を等身大の聖人のように立たせ、舞台広告を街の記念碑へ変えた出世作。

出典・画像について

出典:LACMA 作品記録2026-09-14 確認)
画像:Alphonse Muchaジスモンダ》/ジスモンダ — Alphonse Mucha / Adam Cuerden / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-14 確認)
Public Domain表示の忠実な複製画像です。扱いは国・地域によって異なります。
間違いを見つけたら、教えてください →
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。

この画家について本で読む

ミュシャのすべて
堺 アルフォンス・ミュシャ館(堺市立文化館) 著 / KADOKAWA
商業ポスターから《スラヴ叙事詩》全20点まで、ミュシャの二つの仕事を180点の作品でたどれる入門書です。
楽天ブックスで見る →