20点の連作を、過去の苦難と未来への希望が同じ画面へ集まる場面で閉じた。
何が描かれているか
多くの歴史的人物と群衆が、青、赤、黒、黄の異なる領域へ集まる。上方では若者が両腕を広げ、背後から差す光を受けている。
一つの年や事件を再現するのではなく、連作で扱った過去の場面を象徴的にまとめる。人物の大きさ、色の帯、上昇する視線によって、歴史が未来へ開く構図である。
作品の見どころ
下部の暗い人物群から中央の赤、上部の明るい黄へ視線を上げると、抑圧、抵抗、希望の段階が色によって整理される。無数の人物を一人ずつ説明せず、全体の方向を先に見せている。
中央上部の若者は、特定の支配者として威圧的に立つのではなく、両腕を開く。巨大な画面の終点を武器や王冠ではなく光を受ける身体にした点に、連作の理想主義が表れている。
制作背景
1926年制作の《スラヴ叙事詩》第20作で、連作の最終場面にあたる。題名の「賛歌」は、人や出来事を神格化するというより、長い歴史を経た民族の精神的な到達を示す言葉として使われる。
連作20点は1928年にプラハ市へ寄贈された。ポスターで知られたミュシャが、晩年の中心的事業として大画面の歴史画に取り組んだことを示すため、本作は初期の装飾画と併せて見る必要がある。
作品情報
位置づけ
20点の連作を、過去の苦難と未来への希望が同じ画面へ集まる場面で閉じた。
出典・画像について
画像:Alphonse Mucha《スラヴ民族の賛歌》/スラヴ民族の賛歌 — Alfons Mucha / Wikimedia Commons
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