何が描かれているか
塔と建物が青紫の影として立ち、手前のテムズ川には小舟が浮かぶ。
灰色の霧の中に橙色の光と反射が入り、議事堂の縦線と水面の横方向の筆触が対比する。
作品の見どころ
霧は景色を消すだけでなく、青、灰、橙色を一つの空気へまとめる。
塔の輪郭を探し、それがどこで背景へ溶けるかを見ると、建物と天候の主従が逆転していることが分かる。まず中央の国会議事堂の輪郭を探し、塔から水面の反射へ縦に視線を下ろす。建物は細部まで見えず、空と川の色の差によってだけ姿を保つ。近くでは紫、青、橙の筆触が重なり、離れると霧の中の一場面へまとまる。輪郭の曖昧さと、反射の強い縦線が同時に画面を支えるところを見たい。画面の上下で似た色が反復するため、空と川の境目も意識して見比べたい。
制作背景
連作は1899~1901年のロンドン滞在中の観察を基にするが、現地の一瞬だけで完成したものではない。モネはジヴェルニーで1903年まで調整を続け、1904年に連作を展示した。
カンヴァスに油彩、メトロポリタン美術館所蔵。