モナ・リザ
La Joconde / ルーヴル美術館
何が描かれているか
フィレンツェの絹商人の妻、リザ・ゲラルディーニ(1479–1542)の肖像。夫の名を取って「ラ・ジョコンダ」とも呼ばれる。
体を斜めに向け、こちらへ顔を回している。手は椅子の肘掛けに自然に置かれ、右手が左手に重なる。ルーヴル美術館の読み方はこうだ。当時の絵画論は「絵は開いた窓であるべきだ」と言ったが、この絵は開いた扉のようだ、と。見る人は、別荘のテラスに座った彼女が、来訪に気づいて振り向き、微笑みかけてくるところに立たされる。
背後には山脈と川が遠くまで広がっている。左には山を縫う曲がりくねった道、右には川を渡る橋が見える。
なぜ重要か
輪郭線が無い。顔は、影から光へのごく細かい移り変わりだけで作られている。透明な絵の具の層を薄く何度も重ねて境目をぼかす——これがスフマート、イタリア語で「煙のように」という意味の技法だ。
そして微笑がある。ルーヴル美術館は「最も有名な微笑」という見出しを立て、レオナルドはモデルの内面をこの微笑によって明かそうとしたのだ、と書く。当時の肖像画は、よそよそしい表情で描くのがふつうだった。同じ微笑は、同じ頃に描かれた聖アンナと洗礼者ヨハネにもある。3枚ともルーヴル美術館にある。
制作背景
1503年頃、51歳の時に描き始めた。ヴァザーリという16世紀の伝記作者は、注文したのは夫のフランチェスコ本人だと書いている。同じヴァザーリによれば、レオナルドは彼女が沈んだ顔にならないよう、音楽家や道化を呼んで場を保たせたという。肖像を描かれる人にありがちな、あの憂鬱を取り除くためだ。
ところが彼は、この絵を注文主に渡さなかった。死ぬまで手元に置き、描き足し続けた。1519年に67歳で亡くなったとき、まだ完成していない。1518年頃にフランス王フランソワ1世が手に入れた。1793年からルーヴル美術館にある。
世界一有名になった理由は、絵の中には無い。1911年、ルーヴルで働いていたガラス工のヴィンチェンツォ・ペルージャが、これを盗んだ。見つかったのは1913年である。この盗難が世界的な、そして大衆的な名声を与えた——と、ルーヴル美術館自身が書いている。
出典:ルーヴル美術館 作品ページ(2026-08-29 確認)