1500–1501年頃
24〜26歳
キリストの埋葬。人々が布を使ってキリストの遺体を縦向きに支え、墓へ運ぼうとしている。右下などに描かれていない部分が残る未完成の板絵。
キリストの埋葬
The Entombment (or Christ being carried to his Tomb) / ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
墓に横たわった姿ではなく、そこへ運ばれる途中を描いている。題名から静かな埋葬の場面を思い浮かべると、少し意外かもしれない。キリストの遺体を誰かが支え、その周りにも人々が集まる。ただし、彼ら全員の名前が確かに分かるわけではない。まず誰が誰なのかを覚えるより、身体を支え合う動きから眺めたい。人物の名前より、運ぶ行為が入口になる。
何が描かれているか
キリストの身体は、墓に横たえられる前の、運ばれているところだ。周囲の人々が布を使って支え、階段を上がって後方の岩の墓へ向かう。身体が横ではなく縦向きに持ち上げられているため、見る側には正面から示されるように見える。
誰が支えているかには、まだ分からない点がある。後ろの男性は、アリマタヤのヨセフともニコデモとも考えられている。右下の空いた部分には、ひざまずく聖母を描く予定だったというのが所蔵館の見方だ。何も描かれていない場所にも、予定された人物の配置を考える手がかりがある。
なぜ重要か
この絵は油彩ゆさいだが、画面全体が同じ程度まで仕上がっているわけではない。ナショナル・ギャラリーは、ミケランジェロが人物ごとに描き進めたと説明している。よく描き込まれた身体のすぐそばに、まだ手を付けていない場所が残る。未完成という一言の中にも、作業の順序が見える。
《マンチェスターの聖母》と見比べると、どちらも未完成でも、絵の具は同じではないことが分かる。あちらは卵を使うテンペラ、こちらは油彩である。描かれた主題だけでなく、どの人物まで進めて、どこを残しているかという視点でも、二つの絵を比べられる。
制作背景
1500–1501年頃、ローマでの仕事と考えられている。サンタゴスティーノ教会の礼拝堂のために注文された祭壇画さいだんが、つまり祭壇に置く絵だった可能性が高い。ただし、注文記録には絵の主題が書かれていないため、記録の絵とこの作品が同じだとは断言されていない。
所蔵館が両者を結びつける根拠の一つは、光と大きさだ。左から光が当たる描写が礼拝堂の自然光の方向に合い、絵の寸法も設置場所に収まるという。似た主題だからというだけでなく、置かれる空間との関係から、もとの役割が検討されている。
寸法
161.7 × 149.9 cm
材質・技法
板に油彩
所蔵
ナショナル・ギャラリー(ロンドン)2室
目録
NG790
ほか
未完成
出典:ナショナル・ギャラリー(ロンドン)作品ページ / ナショナル・ギャラリー(ロンドン)《マンチェスターの聖母》技法解説2026-09-05 確認)
画像:ミケランジェロキリストの埋葬》/Michelangelo, The Entombment, National Gallery, London (NG790). Reproduction: The Yorck Project (2002), via Wikimedia Commons. Public Domain.
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0(画像情報:2026-09-05 確認)
Yorck Project由来の複製を、作品全体を残して縮小しています。
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