何が描かれているか
大きな聖アンナが背後から聖母マリアと幼子キリストを包むように座り、周囲を天使たちが囲む。三世代の人物が縦に重なり、聖アンナの手が幼子の頭上へ伸びる。
前景の聖母子は強い明暗をもち、膝と胴体が大きな量感をつくる。背後の聖アンナはより細い輪郭と穏やかな色で描かれ、同じ作品の中に異なる画風が見える。
作品の見どころ
幼子の身体に当たる光と、聖母の膝の幅を見ると、二人が平面に貼り付かず前へ張り出す。聖アンナの衣は後ろから大きな輪郭をつくり、三人を一つの安定した三角形にまとめる。
天使の布と金地は伝統的だが、人物の重さは新しい。前後の身体が実際に座れるかを想像しながら見ると、空間の成功と少し窮屈な重なりの両方が分かる。
制作背景
1424〜1425年頃、マゾリーノとマザッチョが共同制作した祭壇画で、現在はウフィツィ美術館にある。一般に聖母子をマザッチョ、聖アンナと多くの天使をマゾリーノが担当したとされる。
分担は技法研究に基づくが、細部には議論があるため完全に線引きできるとは限らない。二人の優劣を決めるより、同じ注文の中で柔らかな線と強い量感がどう組み合わされたかを見る作品である。