宗教画の主題を、理想化しすぎない身体と強い白黒で描く。聖書の細部を取り違えたため、出品前に題名を書き換えた経緯も残る。
何が描かれているか
キリストの遺体が座るように起こされ、白い衣の二人の天使が左右から支える。手前には受難を示す釘などが置かれる。
理想的で軽い身体ではなく、重さと傷を持つ遺体として描かれる。垂れた手、脇腹の傷、折れた脚の方向を追うと、支える天使たちにも身体の重さがかかって見える。
作品の見どころ
白い布、青みのある肌、暗い墓の背景が強く対比する。天使の翼と布の筆触も近くで見ると粗さが残る。
左右対称に整えず、キリストの身体を斜めへ傾けることで静けさの中に不安定さを作る。キリストの肌を中心に白い衣と翼が三角形を作る一方、墓の暗がりがそのまとまりを大きく囲む。
制作背景
1864年のサロン出品作。マネは福音書の記述と人数を取り違えたことに気づき、題名をより一般的な表現へ直した。
現在はメトロポリタン美術館所蔵。宗教画でも、現実の身体と絵具の表面を隠さない姿勢が続く。題名変更の経緯を押さえると、福音書の忠実な挿絵ではなく、古い宗教画を現代の身体で組み直した作品と分かる。
出典・画像について
画像:Édouard Manet《天使たちと死せるキリスト》/天使たちと死せるキリスト — Édouard Manet / Wikimedia Commons
CC0/Open Accessとして提供された画像です。
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この画家について本で読む
エドゥアール・マネを見つめて
エミール・ゾラ 著/林 卓行 監訳/神田 由布子 訳 / 東京書籍
マネを擁護した同時代の作家ゾラの文章を軸に、人柄、作品、公衆との関係を代表作とともに読める入門書です。
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