リッタの聖母
The Litta Madonna / エルミタージュ美術館
何が描かれているか
聖母が幼子に乳を与えている。子は母の胸に抱かれながら、顔だけをこちらへ向けている。
背後に窓が2つ、左右対称に開いている。その向こうに山の風景が、果てしなく続く。エルミタージュ美術館は、この眺めが「創造されたものすべての調和と広がり」を思わせる、と書いている。
構図は単純で、釣り合いが取れている。美術館は、聖母と子の体が「光と影のこの上なく細やかな使い方」で立体を与えられている、としている。
なぜ重要か
美術館は、この絵を新しい時代の到来を告げた作品のひとつだとする。のちに盛期ルネサンスと呼ばれることになる時代である。
主題そのものは古い。授乳する聖母は、何百年も描かれてきた型だ。美術館の言い方はこうである。「子に乳を与える美しい女性は、母であることと母の愛の、そのものであるように見える。人間にとっておそらく最も大きな価値として受け止められてきたものの」。神の像としてではなく、母の像として見られている。
制作背景
美術館は、この絵が「画家が1482年に移り住んだミラノで作られたと思われる」と、推測の形で書いている。制作年は1490年から1491年。
ルーヴル美術館に、この絵のための下絵の素描が残っている。板に描かれていた絵は、後にカンヴァスへ移し替えられた。
エルミタージュに入った経緯が変わっている。ミラノのリッタ伯が、家族の画廊を売りたいと申し出て、44点の目録を送ってきた。帝室エルミタージュの館長ステパン・ゲデオノフがミラノまで出向き、10万フランで4点だけ選ぶ。そのうち最も価値が高かったのが、この絵である。購入は1865年1月12日。通称は、その前の持ち主の名から来ている。
出典:エルミタージュ美術館 デジタルコレクション / エルミタージュ美術館 取得の記録(2026-08-29 確認)