1475年頃
カーネーションの聖母。赤い花を持つ聖母が幼子キリストを抱き、背後の窓から遠い山が見える。
カーネーションの聖母
Madonna mit der Nelke / アルテ・ピナコテーク
何が描かれているか
聖母が幼子おさなごキリストを膝に抱き、手に赤い花を持っている。カーネーションと呼ばれてきた花で、この絵の通称もそこから来ている。
場所は室内。左右に窓が開いていて、その向こうに遠い山が見える。狭い部屋と果てしない風景が、同じ画面の中で隣り合っている。
アルテ・ピナコテークは、窓のある室内に聖母を置くというこの型について、レオナルドがまだフィレンツェ絵画の伝統に密接に結びついていた、と書いている。
なぜ重要か
型は借りている。中身が違う。美術館は、徹底して自然の観察に基づいた造形が、のちの自在な制作の野心的な原理を指し示している、と説明する。借りた枠の中で、見たものを写す方へかじを切っているということだ。
技法についても、美術館ははっきり褒めている。油絵具で仕上げられたこの絵を「実験であり離れ業(ein Experiment und Bravourstück)」だとする。Bravourstück は出来ばえをたたえる語で、未完成や試作という意味ではない。
制作背景
23歳頃、まだ師のヴェロッキオの工房で働いていた時期の作品にあたる。美術館は、最も初期の板絵のひとつだとしている。
のちに教皇クレメンス7世となるジュリオ・デ・メディチが所蔵していた。ミュンヘンの美術館がこれを買ったのは1889年、ギュンツブルクという町の医師からである。枢機卿すうきけいの手元にあった絵が、300年以上を経てドイツの地方都市から現れたことになる。
⚠️ この作品ページには、来歴の欄も、修復の記録も、文献の一覧も無い。解説は4文で終わる。この絵についてミュンヘンが公開しているのは、それだけである。62×48.5センチ、ポプラの板に油彩ゆさい。展示は上階の第IV室にある。
寸法
62 × 48.5 cm
材質・技法
ポプラ板に油彩
所蔵
アルテ・ピナコテーク(ミュンヘン)IV室
目録
Inv. 7779
出典:バイエルン州立絵画コレクション 作品ページ2026-08-29 確認)