1492–1501年頃
ほつれ髪の女。うつむき加減の若い女性の頭部。顔は精密に、髪は粗いまま残されている。
ほつれ髪の女
Testa di fanciulla, detta "La scapiliata" / ピロッタ宮 国立美術館
何が描かれているか
うつむき加減の若い女性の頭部。24.7×21センチしかない、手のひらに載る大きさの板絵である。現存するレオナルドの絵のなかで、いちばん小さい。
顔は精密に描かれている。あいまいに微笑み、まぶたが少しれている。ところが頭のまわりの髪は、蛇行だこうする線のまま止まっていて、肩に落ちるあたりではほとんど描かれていない。
色はほとんど無い。板の上に、鉛白えんぱくと、鉄を含む顔料がんりょうと、辰砂しんしゃという赤い鉱物が乗っているだけだ。絵の具の種類だけを見れば、完成した油絵とは呼びにくい。
なぜ重要か
この絵は下絵ではない、というのが美術館の立場である。ピロッタ宮の国立美術館は、これを三通りに言い換えている。考えを目に見える形に翻訳したもの。様式の練習。そして、それ自体に価値のある独立した作品。
とはいえ、何のために描かれたのかは分かっていない。レダのための習作だという説、聖アンナのための習作だという説、岩窟がんくつの聖母のための習作だという説がある。決着はしていない。仕上げた所と放り出した所が、1枚の中で同居している絵だ。
制作背景
この絵が記録に現れるのは1826年である。パオロ・トスキという人が「明暗で描かれた聖母の頭部」として見出した。パルマの美術学校が購入を承認したのは1839年6月7日。カッラーニという画家のコレクションから来ている。
真筆かどうかは、一度疑われた。1896年にコッラード・リッチが目録で疑問を出したが、決め手となる根拠は挙げていない。1920年代にアドルフォ・ヴェントゥーリが本人の作だと言い直し、1531年にゴンザーガ家のコレクションにあった記録との関連を提案する。1980年代にはカルロ・ペドレッティが支持に回った。
制作年も揺れている。美術館の表示は1492年から1501年の間。一方ペドレッティは1508年頃を提案した。どちらも、この作品ページに並べて書かれている。40歳の頃なのか、56歳の頃なのか、決まっていない。
寸法
24.7 × 21 cm
材質・技法
板に鉛白・鉄系顔料・辰砂
所蔵
ピロッタ宮 国立美術館(パルマ)
目録
GN 362
出典:ピロッタ宮 国立美術館 作品ページ2026-08-29 確認)