何が描かれているか
知恵と戦いの女神アテナが、甲冑と兜を身につけて正面を向く。右手には小さな裸婦像、左手には槍を持つ。
古代神話の人物だが、過去の出来事を再現するより、見る人へ直接立ちはだかる現代的な象徴として描かれる。兜の下の顔、胸元、右手の像へ順に目を移すと、正面性の強い姿の中にも細かな焦点が作られている。
作品の見どころ
顔と腕には立体感がある一方、甲冑の鱗、背景、枠は平らな模様に近い。写実と装飾の切り替わりを見よう。
金色の中へ紫、赤、青が小さく置かれる。豪華さだけでなく、冷たく硬い守護者の印象を作る。背景の人物像まで探すと、金色の面が単なる空白ではなく、古代を思わせる図柄で満たされている。
制作背景
1898年、ウィーン分離派が活動を始めた時期の作品。アテナは同会のポスターなどにも現れ、新しい芸術を守る象徴として使われた。
現在はウィーン・ミュージアム所蔵。画面だけでなく文字と装飾を含む外縁までが一つの見え方を作っている。分離派との結びつきは題材だけでなく、絵画、文字、枠を一体として扱う姿勢にも表れている。