何が描かれているか
妊娠した女性が大きな腹に手を添え、頭を下げる。衣の中には頭蓋骨がのぞき、足元では三人の女性が祈るように手を上げる。
題名は希望だが、出産の喜びだけを描かない。新しい命と、失われるかもしれない命が同じ身体に重なる。大きな腹を中心に顔、頭蓋骨、足元の女性たちを縦にたどると、誕生と死の徴が一本の流れに並ぶ。
作品の見どころ
女性の顔と腹は丸く立体的で、衣は円や渦巻きの平面になる。身体の内側と外側を装飾で分けずに結びつける。
頭蓋骨を見つけた後、下の三人の表情へ視線を移そう。祈りにも哀悼にも見え、題名を単純な答えにしない。衣を埋める円や渦は華やかだが、その間に沈んだ顔が置かれ、祝福だけには見えない重さを残す。
制作背景
1907〜1908年の作品。クリムト自身は《幻影》と呼んだが、先行する妊婦像《希望I》との関係から現在の題名が定着した。
現在はニューヨーク近代美術館所蔵。金、油彩に加えてプラチナも使い、工芸的な表面と心理的な主題を結ぶ。現在の題名が後から定着した経緯を知ると、「希望」という言葉だけで場面の意味を決められない。