何が描かれているか
両側の細い木々が道の上で枝を交差させ、中央奥に黄色い建物が見える。人や乗り物は描かれない。
実際の並木道をもとにしながら、幹と葉を垂直線と小さな色面の反復として組み立てている。道の明るい帯は手前から奥へ細くなり、その先の建物が木々の密集した面に小さな出口を作る。
作品の見どころ
道の左右はほぼ対称だが、幹の曲がり方や葉の密度は少しずつ違う。整った入口と、生きた森の揺れが同居する。
中央へ進む遠近法と、画面を埋める平らな模様を一緒に見よう。奥行きがあるのに、織物の表面のようにも見える。葉を一枚ずつ描くのでなく色の粒として重ねることで、木陰の揺れと画面全体の密度を同時に表している。
制作背景
クリムトは1900年以降、毎夏のようにアッター湖周辺で風景を描いた。1912年のこの作品もカンマー城周辺の眺めを主題にする。
現在はベルヴェデーレ所蔵。人物肖像の金色だけでなく、風景の色と反復もクリムトの装飾的な構成を示す。人物のいない正方形の風景でも、肖像画と同じように、自然を模様へ組み替える関心が続いている。