何が描かれているか
三角形や四角形を組み合わせた街のような形の上に、一つの赤い円が浮かぶ。下部には暖色の建物、上部には青灰色の空が重なり、現実の遠近法は弱い。
題名によって赤い円は風船と分かるが、糸や人物は目立たない。円、四角、三角という基本形と、赤、黄、青に近い色の関係だけで風景を組み立てている。
作品の見どころ
赤い円は大きくないのに、周囲が直線と鈍い色でできているため、画面の中心として強く見える。少し上に置かれた位置が、重力から離れて浮かぶ感覚を生む。
下の街を一軒ずつ読むより、色の面がどのように隣り合うかを見るとよい。建物に見えた形が抽象的な模様にも戻り、具体物と抽象の間を視線が往復する。
制作背景
1922年、クレーがバウハウスで教えていた時期の作品である。同校では色彩や形の関係を理論的に扱ったが、本作は授業の図解ではなく、幾何学と詩的な題名を結びつけた独立作品である。
現在はグッゲンハイム美術館が所蔵する。1948年に同館が画商カール・ニーレンドルフの遺産を一括購入した際、50点を超えるクレー作品とともに収蔵された。