1919年
39歳頃

落ちる鳥

画家 パウル・クレー
Falling Bird / メトロポリタン美術館
落下を矢印と単純な形へ置き換え、鳥の動きと画面の方向を一つにした。

何が描かれているか

横に重なる色の帯の中で、単純化された鳥が頭を下へ向ける。そのそばに下向きの矢印が置かれ、題名を読まなくても落下の方向が伝わる。
鳥は羽毛まで写実的に描かれず、頭、翼、胴体が線と色の小さな記号へ変えられる。背景も空や地面をそのまま描かず、青、橙、褐色かっしょくの層として構成される。

作品の見どころ

鳥の形と矢印を同じ方向へそろえることで、静止した紙面に運動を作る。矢印は説明記号だが、画面の線としても働き、見る順序を上から下へ決める。
色の帯は水平に安定しているのに、鳥だけが垂直に落ちる。この二つの方向の衝突を見ると、小さな作品でも落下の不安と速度が強く感じられる。

制作背景

1919年制作。メトロポリタン美術館の記録では、水彩、転写油彩ゆさい、インクを紙に用い、さらに厚紙へ貼られている。絵画と素描そびょうの間を行き来するクレーの技法が分かる。
転写油彩は、油性の絵具を塗った紙を重ね、上から線をなぞって下の紙へ写す方法である。均一な印刷線ではない、かすれや汚れを含む線が、鳥の不安定な動きに合っている。

作品情報

材質・技法
水彩・転写油彩・インク、紙
所蔵
メトロポリタン美術館
位置づけ
落下を矢印と単純な形へ置き換え、鳥の動きと画面の方向を一つにした。

出典・画像について

出典:メトロポリタン美術館 作品記録2026-09-14 確認)
画像:Paul Klee落ちる鳥》/落ちる鳥 — Paul Klee / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-14 確認)
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