1920年
40歳頃

新しい天使

画家 パウル・クレー
Angelus Novus / イスラエル博物館
正体の定まらない天使像が、後に思想家ベンヤミンの「歴史の天使」と結びついた。

何が描かれているか

大きな目、開いた口、広げた翼をもつ、人とも鳥ともつかない存在が正面を向く。頭からは巻いた髪のような形が伸び、脚は短い線へ単純化される。
左右対称に近いが、翼、手、顔の線は少しずつ異なる。宗教画の荘厳な天使より、驚き、ためらい、動き出す直前が混ざる小さな生き物のように見える。

作品の見どころ

目と口の三つの開いた形が顔を作り、その周囲で翼と髪の線が広がる。少ない色と線でも、閉じる方向と開く方向が同時にあり、表情を一つへ決めにくい。
有名な「歴史の天使」という意味を先に当てはめず、まず線の動きと正面性を見るとよい。画面そのものは、過去や未来を具体的な物語として描いてはいない。

制作背景

1920年制作。思想家ヴァルター・ベンヤミンが1921年に購入し、後に論考で、過去の破局を見ながら未来へ運ばれる「歴史の天使」として解釈したことで広く知られた。
その解釈はクレー自身が作品へ添えた説明ではなく、ベンヤミンの思想に属する。現在はイスラエル博物館が所蔵する。作品と後世の受容を区別すると、この小さな絵が持つ影響の広がりが見える。

作品情報

材質・技法
油彩ゆさい転写・水彩、紙
所蔵
イスラエル博物館
位置づけ
正体の定まらない天使像が、後に思想家ベンヤミンの「歴史の天使」と結びついた。

出典・画像について

画像:Paul Klee新しい天使》/新しい天使 — Paul Klee / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-14 確認)
Public Domain表示の忠実な複製画像です。扱いは国・地域によって異なります。
間違いを見つけたら、教えてください →
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。

この画家について本で読む

パウル・クレー作品集 詩と絵画の庭
黒田 和士 著 / 東京美術
物語、前衛、バウハウス、自然、文字など6つの視点から約140点を大判で見られる作品集です。
楽天ブックスで見る →