何が描かれているか
黄白色の牛と乳を搾る人物が、山、家、色の帯の中へ溶け込む。
題名は《牛》。形を一つずつ探すだけでなく、色の広がり、線の方向、空白の配分を追うと、画面がどの順序で見えるよう組み立てられたかが分かる。
作品の見どころ
牛を周囲の色へ溶かし、何が描かれたかより色と形の響きを前へ出した。
近くでは筆触や色面の境界を、少し離れてからは全体の重心を見るとよい。写実から離れた部分も省略ではなく、視線の速度や強弱を調整する積極的な選択として働く。視線を往復させると、形の反復と差がより明確になる。
制作背景
1910年の作品。レンバッハハウス美術館の記録を基準に、技法は「油彩、カンヴァス」として整理した。制作年に幅がある場合は、所蔵先の表記を保ち、単年へ決めつけていない。
原題は「The Cow (Die Kuh)」。後の様式名だけで説明を終えず、この時点で画家が何を残し、何を変えたかに注目する。作品から直接読めない心理や象徴は断定していない。