裸の女性が長椅子に横たわり、両腕を頭の後ろへ置いてこちらを見る。神話の女神を示す道具に頼らず、同時代の室内にいる人物として正面から視線を返すことが、この裸体像の緊張を作る。
何が描かれているか
女性の身体は画面を横切るように伸び、白い枕と布が輪郭を支える。顔と上半身はこちらへ向き、腕は左右に開いて頭の後ろへ置かれる。
暗い背景、白い寝具、明るい肌の三つの大きな色面で、横たわる姿が画面の中心になる。
作品の見どころ
鑑賞者側へ向けられた視線によって、見る側だけが一方的に観察する関係にならない。
モデルをアルバ公爵夫人またはペピータ・トゥドーとする説はあるが、人物は特定されていない。名前探しを先にせず、姿勢と視線が作る距離を見たい。顔からこちらへ返される視線を起点に、頭の後ろの腕、横へ伸びる身体、白い寝具へたどると、人物と鑑賞者の近さが分かる。モデル名を当てることより、この正面性が生む緊張を見る。寝具の白が身体の輪郭をどこで支えるかも比べたい。
制作背景
カンヴァスに油彩、97.3×190.6センチで、プラド美術館が目録番号P000742として所蔵する。
1800年にマヌエル・ゴドイの宮殿にあったことは確認できるが、ゴドイ自身の注文だったという説明は推定を含む。