何が描かれているか
入口の壁一面に、世界の終わりに人間を裁く《最後の審判》が描かれる。中央上部のキリストを境に、左下は救われる者、右下は悪魔に引かれる者と地獄へ分かれる。
画面下では礼拝堂の寄進者エンリコ・スクロヴェーニが、建物の模型を聖母側へ捧げる。実際に立っている礼拝堂そのものが、描かれた世界へ組み込まれている。
作品の見どころ
まず中央の大きなキリストを見てから、左右へ広がる使徒、天使、群衆を追うと階層が読める。救済側の整った列と、地獄側の絡み合う身体が秩序と混乱を対照させる。
小さな場面を一つずつ見るだけでなく、入口から礼拝堂全体を振り返るとよい。壁の物語を見終えた人が最後に自分の行いを考える、建築と一体の終点として働く。
制作背景
スクロヴェーニ礼拝堂はエンリコ・スクロヴェーニの依頼で建てられ、壁画群は1303〜1305年頃に完成した。最後の審判は出入口側にあり、退堂する人が向き合う位置に置かれた。
寄進者像を単なる自画像と見るのではなく、建築の奉献と救済への願いを示す役割として読む必要がある。作品は個人の記念、聖書の物語、礼拝空間を一つに結びつけている。